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HOME > ブログ > 別居妻 > 別居には事情があったという理由だけで、妻は遺族年金をもらえるのか?
ブログ
別居には事情があったという理由だけで、妻は遺族年金をもらえるのか?
公開日: 2019年11月28日 更新日:2020年5月25日
「10年前に夫が勝手に家を出て行って別居になりました、私としては離婚する気持ちは全く無かったし、遺族年金をもらう権利があると思う」
「夫の言葉の暴力が原因で精神的に辛く別居することになりました。このような事情があっても遺族年金もらえませんか?」
「30年も婚姻期間があって、別居期間はたったの1年。それでも遺族年金もらえないの?」
別居していた奥様は遺族年金を請求する際には、生計を共にしていなければ遺族年金をもらえないことから、
上記のようなご相談を多く聞きますので解説させていただきます。
別居していた奥さんが遺族年金をもらう要件は?
別居していた場合、籍が入っているからといって遺族年金がもらえるわけではなく、次の要件を満たす必要があります。単身赴任、就学又は病気療養等のやむを得ない事情により住所が住民票上異なっているが、次のような事実が認められ、その事情が消滅したときは、起居を共にし、消費生活上の家計を一つにすると認められるとき
(ア) 生活費、療養費等の経済的な援助が行われていること
(イ) 定期的に音信、訪問が行われていること
つまり、
やむを得ない事情があって別居していたけど、その事情が解決したら同居する予定であり、別居期間中は経済的援助も定期的な音信・訪問もあった。
というような状況でなければいけないということになります。
夫から経済的な援助が無かったら遺族年金はもらえないの?
結論から申し上げますと、原則、遺族年金はもらえません。
妻なのに、遺族年金をもらえないのはおかしくないか?
夫の方に原因があり別居せざるを得なかったのに遺族年金をもらえないなんて、ひどい。
このようなご意見を数多く聞いてきました・・・。
お気持ちは、よくわかります。
ご主人から受けた苦痛に対して、これまでずっと我慢してきたにもかかわらず、最後の最後で遺族年金をもらえないかもしれないなんて、耐えがたい状況だと思います。
しかしながら、制度上、上記のような要件が定められているため、その要件に沿った主張をしていなければ遺族年金はもらえないのです。
もし、別居していたのには事情があったという方でも、経済的援助や定期的な連絡訪問があったのであれば、その部分をしっかりと主張し証明していった方が良いです。
【※例外※】やむを得ない事情だけで遺族年金がもらえた事例
しかしながら、夫からのDVで経済的な援助は無かったし、音信・訪問なんて危険なので絶対無理。というケースもあるかと思います。以下、経済的援助や音信・訪問が無かった場合でも遺族年金の受給が認められたケースをご紹介します。
本件の場合、亡A死亡時において、亡Aと請求人が別居していたことは明らかであるから、前記第3の2記載の認定基準アに該当するとはいえない。
※認定基準ア及びイに関しては、こちらのページをご参照ください。→ https://www.nenkin-izoku.com/tidbits/category/knowledge03/しかしながら、亡Aと請求人の別居は、請求人がその生命・身体に現実の危険を感じるのに十分な、亡Aによる暴力的言動によるものであって、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律第1条所定の配偶者からの身体に対する暴力等による被害を回避し、その暴力等からの保護を求めるための別居であったと認めることができる。
そして、その別居期間は、婚姻期間約○年間のうちの末期の○か月であるが、その経緯をみるに、請求人は、亡Aの暴力等を契機に、平成○年○月○日に○人の子を連れて家を出て、友人宅で一時保護された後、同月○日に女性相談援助センターに身を寄せ、同所を同月○日に退所した後は、現住所である○○市の住居に入居しており、亡Aの死亡は、その約○か月半後の同年○月○日である。
別居中は、夫とは連絡をとらないように警察、市役所、女性相談援助センター等から言われたため、弁護士を通じて、生活費を送ってくれるよう亡Aと連絡をとっていたというのである。これらのことを総合的にみると、請求人と亡Aの同居、協力扶助義務に関する法律関係は、未だその行方が定まらない時期にあり、その生計維持関係に係る事態は極めて流動的であったとみることが相当であり、亡Aと請求人の間に離婚の合意は認められないことなどからみて、厳密な意味では、前記第3の2の認定基準イの( ア) 及び( イ) には当たらないとはいえるが、生計維持関係に係る事態が極めて流動的であったと評価されることに照らせば、形式的に上記( ア)及び( イ) に当たらないことをもって、上記認定基準イに該当しないとすることは、実態と著しく懸け離れたものとなり、かつ、社会通念からみて、具体的妥当性を欠くといわなければならない。
したがって、請求人と亡Aの関係は、上記認定基準イの「その事情が消滅したときは、起居を共にし、消費生活上の家計を一つにすると認められる」状態とみることができる。
(2)しかし、一方配偶者死亡の時点の一点で現にその者の生計が相当程度支えられていないとして生計維持関係を認めないことが著しく合理性を欠く場合(たとえば、死亡時点では、残された配偶者に高額の収入があったが、それがその者の疾病、定年到達等により、日を置かずして失われることが確実な場合)には、例外的な取扱いがなされて然るべきである。
また、一方配偶者の死亡時点において、別居のため一体の生計が営まれておらず、また、仕送り等経済上の相互扶助もない場合であっても、それが配偶者の一方又は双方の疾病その他やむを得ない事情によるものであって、夫婦双方に婚姻関係を解消する意思が認められず、前述の、いわば常態から逸脱した状況が婚姻関係を形骸化せしめる程長期間続いているわけでなく、上記やむを得ない事情が解消すれば速やかに夫婦の共同生活が再開されることが期待されるような場合にも、例外的な取扱いが認められて然るべきである。
(3)本件の場合、亡Aと請求人の別居は、請求人がその生命・身体に現実の危険を感じるのに十分な、亡Aによる暴力的言動によるものであったと認めることができ、その別居期間は、婚姻期間約○年間のうちの末期約○年○か月間であるが、請求人に、亡Aの暴力的言動に耐えてなお亡Aとの同居を求めることは過酷な要求というべきであり、本件別居はやむをえない事情によるものであったと認められる。
請求人は、亡Aの暴力的言動を契機に家を出て子の許に身を寄せた後、夫婦関係調整の調停及び婚姻費用分担の調停の申立てをしたが、婚姻費用分担の調停は不成立となって審判に移行し、亡Aに対し、請求人に○万円及び平成○年○月以降離婚又は別居解消に至るまで、毎月○万円の支払いを命じる審判が確定したが、亡Aは支払に応じなかったため、請求人は、履行勧告の申立てをしたり、亡A申立ての離婚調停の場において話し合いに応じた。上記1の(7) ウによれば、請求人は離婚を求めてはいないのであり、審理期日における請求人の陳述によれば、請求人は、亡Aの入院、事故、死亡に至るまで、ことある毎に、その事態の収拾に努力していたことが認められる。
これらのことを総合的にみると、請求人と亡Aの別居は、亡Aの暴力的言動によるやむを得ざる別居で、亡Aからの婚姻費用の支払いは滞ってはいたが、請求人は上記審判に基づく具体的な金銭債権を有しており、強制的履行の実現も視野に入れて調停の場で話し合いを続けていたのであり、定期的な音信は約○回の調停期日における話し合いという状況ではあるが維持されており、両者間に離婚の合意はなく、請求人は、婚姻関係の修復を求めて努力しているとみることができるから、前記第3の2認定基準イの「その事情が消滅したときは、起居を共にし、消費生活上の家計を一つにすると認められる」状態とみることが相当である。
まとめ
その点にクローズアップして主張するのではなく、経済的援助や音信・訪問があったということをしっかりと主張してください。
例外的に、やむを得ない事情をもってして遺族年金を受給できるケースがありますが、どちらかというとレアなケースであり、認められるには年金事務所段階では難しく、社会保険審査会で認められる可能性はあるかもしれないと思われておいた方が良いかと思います。
この記事を書いた人
担当した解決事例
- 内縁の妻(住民票住所同一、住所別)の遺族年金請求
- 離婚後の元妻の遺族年金請求
- 重婚的内縁関係の遺族年金請求(内縁の妻側、戸籍上の妻側共に有り)
- 通い婚状態の内縁の妻の遺族年金請求
- 内縁の夫の遺族年金請求
- 別居して18年の妻の遺族年金請求
- 元夫との間の子の遺族年金請求
- 内縁の妻の加給年金請求
カテゴリ:
2019年11月28日 14:52
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