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HOME > 事例集 > 社会保険審査会事例 > 経済的援助が認められなかった別居していた妻の事例
事例集
経済的援助が認められなかった別居していた妻の事例
公開日: 2021年2月 9日 更新日:2021年2月 9日
【社会保険審査会裁決事例】※当センターがサポートした案件ではありません。平成25年(厚)第1270号 平成26年6月30日裁決
本件再審査請求を棄却する
事案概要
亡Aが死亡したため、妻が遺族厚生年金を請求したところ、「請求人様と故A様は住民票を別にされています。この場合、お二人の間に定期的な音信・訪問があること、故A様から請求人様へ生活の基盤となる経済的援助が行われていたことが遺族厚生年金の支給要件になります。定期的な音信・訪問につきましては、生計同一関係に関する申立書に、請求人様が故A様のもとを訪問され、身の回りのお世話をされていたことをご記入いただいております。経済的援助につきましては、生計同一関係に関する申立書の中で、故A様より光熱費・家賃・病院代等一ヶ月に○万円の援助を受けておられたとご記入いただいております。しかし、現金にて受け取られていたということで、前述の援助があったことを客観的に確認できる資料がありません。以上のことから請求人様が故A様に生計維持されていたとは認められず、遺族厚生年金は不支給と決定いたします。」という理由で、遺族厚生年金を支給しないとした処分を不服として、社会保険審査会に再審査請求をした事案。
争点
請求人である妻が亡Aの死亡に係る遺族厚生年金を受給することができる配偶者に該当しないと認められるか、否か
結論
請求人は、亡A死亡の当時、同人によって生計を維持したものと認めることはできないといわざるを得ないから、原処分は妥当であるというほかなく、これを取り消すことはできない。よって、本件再審査請求を棄却することとして、主文のとおり裁決する。本案件のポイント
本案件のように、夫と妻が別居しており、住民票上の住所が別の事例について、生計維持関係が認められるには、次の(ア)、(イ)のいずれかに該当する必要があります。
(ア) 現に起居を共にし、かつ、消費生活上の家計を一つにしていると認められるとき
(イ) 単身赴任、就学又は病気療養等の止むを得ない事情により住所が住民票上異なっている
が、次のような事実が認められ、その事情が消滅したときは、起居を共にし、消費生活上の家計を一つにすると認められるとき
(a) 生活費、療養費等の経済的な援助が行われていること
(b) 定期的に音信、訪問が行われていること
本案件が、「請求人は、亡A死亡の当時、同人によって生計を維持したものと認めることはできない」と判断されたポイントは、以下の通りです。
・別居の理由が「止むを得ない事情」により住所が住民票上異なっているわけではなく、将来的に、「その事情が消滅したときは、起居を共にし、消費生活上の家計を一つにする」と認められる資料もない。
・請求人は、約〇年間の離婚期間中及び再婚後の期間、同一事業所で、〇〇千円ないし〇〇千円の標準報酬月額により就労し、同じ〇〇の住居に居住し、車を所持した生活をしており、60歳以降は公的年金も受給しているのであるから、再婚後の生活について、「私が金銭で苦しい時は夫がお金を援助してくれていた。生活が毎月苦しい為、夫から〇ヶ月に一度〇万円を援助してもらっていた。1ヶ月〇万円以外に光熱費や家賃、病院代等1ヶ月約〇万円支援を受けていました。」とする請求人の申立ては、不自然であり、そのまま採用することはできないと判断された。
・請求人は、陳述書において「亡Aから年金支給の数日後に、〇万円(生活費〇万円、小遣い〇万円)を貰っていた」旨を陳述するが、亡Aが平成〇年〇月及び同年〇月の年金支給日の2日以内に出金した金額は、それぞれ〇万円及び〇万円にすぎないことからすると、この陳述をそのとおりに採用することはできないと判断された。
請求人は、亡Aから経済的援助があったと主張するものの、それを裏付ける資料が無く。また、その主張も整合性を欠くものであることから、生計を維持していたものと認めることはできないと判断されています。
上記のような基準は、一般的・基本的なものとしては相当と解されるので、本件をこれに照らしてみると、上記 1 で認定した事実により、前記 (1)のアに該当しないことは明らかであるので、前記 (1) のイに該当するものと認められるかどうかが問題となる。
亡Aと請求人の別居は、上記1の (5) 及び (6) で認定したとおり、「一度籍を抜いた為、別々に暮らし、もう一度籍を入れた時二人とも年老いたため引っ越が苦難となり」「離婚期間が10年近くあり、その間はそれぞれ別の部屋を借りて住んでいたため、物も増えたしどちらかの部屋へ転居するのは面倒だ」というものであり、上記認定基準イでいう、単身赴任、就学又は病気療養等の「止むを得ない事情」により住所が住民票上異なっているわけではなく、将来的に、「その事情が消滅したときは、起居を共にし、消費生活上の家計を一つにする」と認められる資料もない。
請求人と亡Aは、昭和○年○月○日に婚姻したが、平成○年○月○日(当時請求人は○歳)に離婚し、同○年○月○日(当時請求人は○歳)に再婚したのであるが、請求人は、約○年間の離婚期間中及び再婚後の期間、同一事業所で、○○千円ないし○○千円の標準報酬月額により就労し、同じ○○の住居に居住し、車を所持した生活をしており、60歳以降は公的年金も受給しているのであるから、再婚後の生活について、「私が金銭で苦しい時は夫がお金を援助してくれていた。生活が毎月苦しい為、夫から○ヶ月に一度○万円を援助してもらっていた。1ヶ月○万円以外に光熱費や家賃、病院代等1ヶ月約○万円支援を受けていました。」とする請求人の申立ては、不自然であり、そのまま採用することはできないといわざるを得ない。
また、請求人は、上記陳述書において、亡Aから年金支給の数日後に、○万円(生活費○万円、小遣い○万円)を貰っていた旨を陳述するが、上記のとおり、亡Aが平成○年○月及び同年○月の年金支給日の2日以内に出金した金額は、それぞれ○万円及び○万円にすぎないことからすると、この陳述をそのとおりに採用することはできない。
これらを総合して考えると、請求人は、上記認定基準のイにも該当するとはいえない。
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2021年2月 9日 16:17