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10年短縮の年金受給者が亡くなった場合、遺族年金はもらえないかも
公開日: 2019年12月22日
更新日:2020年5月25日
亡くなったご主人の遺族年金の請求ができるかチェックするため、ご主人がご自身の年金を受給されていたかを確認します。
数年前までは、「主人は年金を受給していました。」という回答であれば、遺族年金の受給資格の要件は満たしていると判断できましたが、10年短縮制度ができてからは、そうはいかなくなりました。
今日は、このことを解説したいと思います。
1.10年短縮の年金受給について
「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律」(平成28年法律第84号)が平成28年11月24日に公布され、平成29年8月1日に施行されました。
この法改正により、年金を受けとるために必要な期間(保険料納付済等期間)を、25年から10年とすることになりました。
これまで、年金に10年以上25年未満の加入期間であった人は、平成29年8月より新たに年金を受け取れるようになったのです。
2.遺族年金の受給資格について
【遺族基礎年金の場合】※国民年金遺族基礎年金を受給するには、亡くなった方が、以下の3項目のいずれかに該当する必要があります。
①国民年金に加入中の人
②国民年金に加入していた人で、日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の人
③受給資格期間が25年以上ある人
【遺族厚生年金の場合】※厚生年金
遺族厚生年金を受給するには、亡くなった方が、以下の4項目のいずれかに該当する必要があります。
①厚生年金加入中の死亡
②厚生年金加入中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡
③老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡したとき。
④1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けられる者が死亡したとき。
遺族基礎年金・遺族厚生年金、共に③に注目していただきたいのですが、
10年短縮制度により、老齢年金の受給資格期間が25年→10年に短縮されたましたが、遺族年金における受給要件に関しては、25年のままで変わっていません。
つまり、平成29年8月の法改正で老齢年金を受給された方でも、例えば、国民年金又は厚生年金の受給資格期間が15年で受給している方の場合は、遺族年金は発生しないのです。
遺族基礎年金・遺族厚生年金ともに③の要件以外に該当する他、遺族年金を受給する方法はありません。遺族基礎年金・遺族厚生年金、共に③に注目していただきたいのですが、
10年短縮制度により、老齢年金の受給資格期間が25年→10年に短縮されたましたが、遺族年金における受給要件に関しては、25年のままで変わっていません。
つまり、平成29年8月の法改正で老齢年金を受給された方でも、例えば、国民年金又は厚生年金の受給資格期間が15年で受給している方の場合は、遺族年金は発生しないのです。
3.10年短縮の年金受給者で遺族年金が発生するには
ただし、
若年者や中高年者であれば、25年の受給資格期間を満たさずとも、国民年金や厚生年金加入中に亡くなられることもあるかもしれません。そして、若い方ほど、25年にも到達できることでしょう。
しかしながら、遺族厚生年金について考えてみると、
平成29年8月以降に、10年短縮の年金に該当して年金をもらい始めた高齢者の方の場合。
今から会社勤めをされて厚生年金に加入して、厚生年金に加入中に亡くなるか、25年の受給資格期間に到達するようにでもならないと遺族年金は発生しないので、なかなか厳しい状況だと考えられます。
4.まとめ
年金受給者であったご主人が亡くなられた場合、奥様は当然に遺族年金をもらえるものだと思われるかもしれませんが、そもそも遺族年金が発生するかどうかは、上記2の要件を満たしていることが必要となります。
長期にわたり会社で働いていたから25年以上は加入していたと思うという方でも、調べてみたら19年という方もいらっしゃいましたし、10年きっちりという方もいました。
ご主人の年金の加入期間が何年であったかを確認したければ、ねんきん定期便等の資料で確認されるか年金事務所に行かれることをお勧めします。
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