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65歳未満の妻が、遺族年金を受給した後の注意点5選!
公開日: 2020年2月16日
更新日:2020年5月24日
今回は、65歳未満の妻が遺族年金を受給した後、注意しておきたいポイントを5つ解説します。
・こういうことがあると、遺族年金がなくなる
・こういうことがあっても、遺族年金はなくならない
・何歳になると、遺族年金の金額が減る
といったことを説明していますので、是非、覚えてください。
1.再婚(事実婚を含む)したら遺族年金は失権します
遺族年金の失権事由として、「婚姻したとき」が挙げられます。
その為、再婚したら遺族年金は終了となります。
再婚の場合は遺族年金は終了となるだろうなと予想がつくかもしれませんが、
上記の「婚姻したとき」に関しては、「事実婚関係を含む」とされています。
つまり、事実婚(内縁)の夫ができても、亡夫の遺族年金は失権することになりますのでご注意ください。
※なお、当センターでは事実婚の相手ができたことによる遺族年金の失権について、お問い合わせをいただくことがありますが、この件のお問い合わせは相談の対象外です。最寄りの年金事務所にご相談ください。
2.姻族終了しても遺族年金はもらえます。
遺族厚生年金の失権事由のなかに、
・離縁によって、死亡した被保険者又は被保険者であった者との親族関係が終了したとき。(厚生年金保険法第64条4項)
という文言があります。
そのため、亡夫の姻族(義理の両親や兄弟)との縁を切る、死後離縁(姻族関係終了)をしたら遺族年金は失権してしまうのか?
と思われる方がいると思いますが、失権しませんのでご安心ください。
上記第64条4項の「離縁」は、法律上、養子縁組を解消することで、姻族関係の終了は含まれません。
また、実家のもとの戸籍に戻る「復籍」をして、旧姓に戻った場合でも、遺族年金は失権しません。
国民年金の遺族基礎年金は、「子のある妻」に支給されます。
ここでいう子とは、
①18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子。つまり、高校卒業まで
②20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の子
のことをいいます。
そのため、①の場合、子供さんが高校卒業すると遺族基礎年金は失権します。
遺族厚生年金を併せて受給されていた方は、遺族厚生年金のみの受給となり、遺族基礎年金780,100円+子の加算がなくなります。
ただし、遺族基礎年金が失権した後、中高齢寡婦加算の要件に該当する方は、中高齢寡婦加算額585,100円が加算されます。
60歳から65歳までの年金は選択です。
60歳台前半でご自身の特別支給の老齢厚生年金の受給ができるようになった場合、遺族年金かご自身の老齢年金を選択して受給することになります。
※特別支給の老齢厚生年金の開始年齢は生年月日により異なります。自分が何歳から受給できるか確認したい方は、こちらの日本年金機構のHPをご参照ください。→ https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/jukyu-yoken/20140421-02.html
仮に遺族厚生年金が70万円。中高齢寡婦加算が585,100円であれば、合計で約128万円となります。
奥さん自身の厚生年金加入期間が短かった為、ご自身の老齢厚生年金が例えば10万円であった場合、遺族厚生年金と中高齢寡婦加算の方が高い為、遺族年金を選択することになります。
そうすると、65歳までは遺族厚生年金+中高齢寡婦加算を受給し、ご自身の老齢厚生年金は支給停止となります。
なお、国民年金を繰り上げ受給される場合であっても、60歳から65歳までは遺族年金との選択受給となり、どちらかしかもらえませんのでご注意ください。
65歳になると下記のことから、遺族年金は減るケースが多いと思います。
①中高齢寡婦加算がなくなる
中高齢寡婦加算が支給されるのは、65歳までです。
そのため、年額585,100円が減ります。
②遺族厚生年金が調整により減額となる
65歳以降、遺族厚生年金とご自身の老齢厚生年金を受給される方は、次の3つを比較して、最も多い額の年金が支給されます。
(1)老齢厚生年金の額
(2)遺族厚生年金の額
(3)老齢厚生年金の2分の1+遺族厚生年金の3分の2
(2)、(3)の場合、老齢厚生年金が全額支給された上で、差額が遺族厚生年金から支給となります。
つまり、これまで受給していた遺族厚生年金は減額となります。
遺族厚生年金とご自身の老齢厚生年金は差額調整が入るため、両方とも満額でもらえませんのでご注意ください。
これまでが専業主婦で厚生年金に加入していない、または加入していたとしても、ごく短い期間という方は、あまり影響はないと思いますが、
長い間、会社勤めされていて、長期間厚生年金に加入していた奥さんの場合は、遺族厚生年金が非常に少なくなる。または、自身の老齢厚生年金の方が高いため、全く受給できなくなる場合もあります。
65歳未満で遺族年金を受給されることとなった場合、
自分がどうなれば遺族年金が失権するか、どの段階で遺族年金の金額が変動するかを知ることで、今後の生活のための設計が変わってくると思いますので、是非、今回の5選については覚えておいてください。
3.子供が高校卒業すると遺族基礎年金は失権します。
国民年金の遺族基礎年金は、「子のある妻」に支給されます。
ここでいう子とは、
①18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子。つまり、高校卒業まで
②20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の子
のことをいいます。
そのため、①の場合、子供さんが高校卒業すると遺族基礎年金は失権します。
遺族厚生年金を併せて受給されていた方は、遺族厚生年金のみの受給となり、遺族基礎年金780,100円+子の加算がなくなります。
ただし、遺族基礎年金が失権した後、中高齢寡婦加算の要件に該当する方は、中高齢寡婦加算額585,100円が加算されます。
4.60歳から65歳までの年金は選択
60歳から65歳までの年金は選択です。
60歳台前半でご自身の特別支給の老齢厚生年金の受給ができるようになった場合、遺族年金かご自身の老齢年金を選択して受給することになります。
※特別支給の老齢厚生年金の開始年齢は生年月日により異なります。自分が何歳から受給できるか確認したい方は、こちらの日本年金機構のHPをご参照ください。→ https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/jukyu-yoken/20140421-02.html
仮に遺族厚生年金が70万円。中高齢寡婦加算が585,100円であれば、合計で約128万円となります。
奥さん自身の厚生年金加入期間が短かった為、ご自身の老齢厚生年金が例えば10万円であった場合、遺族厚生年金と中高齢寡婦加算の方が高い為、遺族年金を選択することになります。
そうすると、65歳までは遺族厚生年金+中高齢寡婦加算を受給し、ご自身の老齢厚生年金は支給停止となります。
なお、国民年金を繰り上げ受給される場合であっても、60歳から65歳までは遺族年金との選択受給となり、どちらかしかもらえませんのでご注意ください。
5.65歳になると、遺族年金は減るケースが多い
65歳になると下記のことから、遺族年金は減るケースが多いと思います。
①中高齢寡婦加算がなくなる
中高齢寡婦加算が支給されるのは、65歳までです。
そのため、年額585,100円が減ります。
②遺族厚生年金が調整により減額となる
65歳以降、遺族厚生年金とご自身の老齢厚生年金を受給される方は、次の3つを比較して、最も多い額の年金が支給されます。
(1)老齢厚生年金の額
(2)遺族厚生年金の額
(3)老齢厚生年金の2分の1+遺族厚生年金の3分の2
(2)、(3)の場合、老齢厚生年金が全額支給された上で、差額が遺族厚生年金から支給となります。
つまり、これまで受給していた遺族厚生年金は減額となります。
遺族厚生年金とご自身の老齢厚生年金は差額調整が入るため、両方とも満額でもらえませんのでご注意ください。
これまでが専業主婦で厚生年金に加入していない、または加入していたとしても、ごく短い期間という方は、あまり影響はないと思いますが、
長い間、会社勤めされていて、長期間厚生年金に加入していた奥さんの場合は、遺族厚生年金が非常に少なくなる。または、自身の老齢厚生年金の方が高いため、全く受給できなくなる場合もあります。
まとめ
65歳未満で遺族年金を受給されることとなった場合、
自分がどうなれば遺族年金が失権するか、どの段階で遺族年金の金額が変動するかを知ることで、今後の生活のための設計が変わってくると思いますので、是非、今回の5選については覚えておいてください。
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