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亡夫と内縁の夫の遺族年金の二重取りができるか?
公開日: 2016年11月18日
更新日:2020年6月 7日
これまで亡くなった夫の遺族厚生年金を受給してたA子さん。
でも、5年前に内縁の夫と同居して一緒に暮らしていました。
ある日、内縁関係でも遺族年金がもらえると聞いたA子さんは、遺族年金の相談をするために、内縁の夫と年金事務所へ、
<A子さん>
「10年前に亡くなった夫の遺族年金をもらっています。
今は、この人と内縁関係で5年前から一緒に暮らしています。
この人が亡くなったら、この人の分の遺族年金ももらえるんですよね?」
<職員>
「二人分の遺族年金はもらえません。」
<A子さん>
「じゃあ、亡夫の分の遺族年金はいらないので、内縁の夫の方の遺族年金はもらえるんですよね。」
<職員>
「そもそも、遺族厚生年金は、事実婚の相手ができたら失権します。
にも関わらず遺族厚生年金を受給していたということは、事実婚の相手はいなかったということになりますよね。」
<A子さん>
「事実婚の相手ができたら遺族年金がもらえなくなるとは知らなかったので・・・。」
<職員>
「では、5年前から内縁関係ということなので、遺族厚生年金は、5年前に失権していたということになります。」
「なので、5年分の遺族厚生年金である500万円を返納してもらうことになりますが、よろしいでしょうか?」
<A子さん>
「あっ、すいません。この人、実は、私の親戚です。」
「ちょっと、お友達がこのケースに該当して困っていたので、代わりに相談に来ました。じゃあ、帰ります・・・。」
亡夫と内縁の夫の二人分の遺族年金がもらえると思ったA子さんでしたが、亡夫の遺族年金を過去5年分さかのぼって返納してくださいと言われる結果に・・・。
このケースで覚えておきたいポイントですが、
ポイント
1.そもそも、現在もらっている遺族年金は、事実婚(内縁)の夫ができたらもらえなくなります。
2.それでも遺族年金をもらっているということは、事実婚(内縁)の夫がいないということになるので、内縁の夫の遺族年金をもらいたくても、もらえなくなります。
内縁の夫の遺族年金がほしかったら、内縁の夫ができたときに、きちんと年金事務所へ報告して、亡夫の遺族年金を止める手続きをキチンとしておきましょうね。じゃないと、
「○年分、何百万円を返してください」
という、厳しい宣告があなたを待っていることになりますので。
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