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本妻がいても、内縁の妻は遺族年金を請求できる。

公開日: 2015年10月12日
更新日:2019年2月20日

夫に内縁の妻がいたとしても、遺族年金は戸籍上の妻が当然に受給するものである。と、一般的に思われていそうですが、必ずしもそうではありません。

届出による婚姻関係にある者が重ねて他の者と内縁関係にある場合の取扱いについては、婚姻の成立が届出により法律上の効力を生ずることとされていることからして、届出による婚姻関係を優先すべきことは当然であり、従って、届出による婚姻関係がその実体を全く失ったものとなっているときに限り、内縁関係にある者を事実婚関係にある者として認定するものとすること。

つまり、夫婦関係が破綻、形骸化している場合は、内縁の妻が遺族年金を受給できる可能性があります。では、どうやって夫婦関係が破綻、形骸化しているか判断するかというと、

① 当事者が離婚の合意に基づいて夫婦としての共同生活を廃止していると認められるが戸籍上離婚の届出をしていないとき

② 一方の悪意の遺棄によって夫婦としての共同生活が行われていない場合であって、その状態が長期間(おおむね10年程度以上)継続し、当事者双方の生活関係がそのまま固定していると認められるとき

上記のいずれかに該当すると、婚姻関係が破綻しているとみられます。また、夫婦としての共同生活が行われていたかについては、次の点を調査することで判断することになります。

ア 別居の開始時期及びその期間
イ 離婚についての合意の有無
ウ 別居期間中における経済的な依存関係の状況
エ 別居期間中における音信、訪問等の状況

たとえば、夫との別居期間が約20年にわたり、その間、離婚に関する合意はなかったものの、生活費の仕送りなどの経済的援助は無い、連絡も一切とっていないというようなケースだと、婚姻関係が破綻していると判断される可能性は高くなります。

このように、本妻との婚姻関係が破綻していると認められれば、内縁の妻が遺族年金を受給できる可能性がでてきます。

ただし、婚姻関係が破綻しているから自動的に内縁の妻が遺族年金を受け取れるわけではありません。
内縁の妻は、自らが夫と事実上婚姻関係にあったことと、生計維持関係にあったことを証明しなければいけません。

このような重婚的内縁関係のケースの遺族年金の請求は難度が非常に高いので、一度、専門家にご相談されることをお勧めします。

この記事を書いた人

遺族年金専門の社会保険労務士 三浦康紀 アルテユース社会保険労務士事務所 代表

遺族年金専門の社会保険労務士

三浦 康紀
アルテユース社会保険労務士事務所代表

全国47都道府県の方から累計2,000件以上の遺族年金相談に対応してきた遺族年金専門の社会保険労務士。遺族年金代行手続きをサポートした案件の受給率は、96.2%。
「あなたに遺族年金を届ける」がコンセプト。

担当した解決事例

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