ブログ
遺言書で、遺族年金を内縁の妻に遺せるか?
公開日: 2015年8月15日
更新日:2021年12月30日
遺族年金を内縁の妻に遺したい。そのために、遺言書で、
「遺族年金は、内縁の妻が受給する。」
と指定した場合、法的な効力を有し、内縁の妻が遺族年金を受給することができるのでしょうか?
結論から申し上げると、遺言で内縁の妻に遺族年金の受給を指定したからといって、必ずしも内縁の妻が遺族年金を受給できるとは、限りません。
やはり事実上婚姻関係にあったか、生計同一関係にあったか、という要件をクリアしているかどうかで、支給するか否かが判断されます。
社会保険審査会の事例において、重婚的内縁関係にある内縁の妻に、夫が遺言書で遺族年金の受取りを指定したケースがあります。
【ケース1 公正証書遺言による指定】
私と内縁の妻は長く共同生活を行い、共に年金で生活し、生計を維持してきた。よって、私が亡き後、社会保険に基づく私に対する年金及び遺族年金等が支給された場合は、内縁の妻にその年金等が支給されるように手続きをとってほしい。
【ケース2 自筆証書遺言による指定】
遺族年金も内縁の妻に渡る様にして下さい。
上記の両ケースは、ともに重婚的内縁関係に係るケースで、遺言書で遺族年金受取りを内縁の妻にするように遺していますが、戸籍上の妻と夫の婚姻関係は形骸化していないということで、内縁の妻は、遺族年金をもらうことができませんでした。
ポイント
遺言書で遺族年金を指定されるということは、内縁の妻にとって、事実上婚姻関係であったという点において、プラスに働くと思いますが、遺言書に指定されたことのみをもってして、遺族年金を必ず受給できるとは限らないと、覚えておいていただければと思います。
この記事を書いた人
担当した解決事例
- 内縁の妻(住民票住所同一、住所別)の遺族年金請求
- 離婚後の元妻の遺族年金請求
- 重婚的内縁関係の遺族年金請求(内縁の妻側、戸籍上の妻側共に有り)
- 通い婚状態の内縁の妻の遺族年金請求
- 内縁の夫の遺族年金請求
- 別居して18年の妻の遺族年金請求
- 元夫との間の子の遺族年金請求
- 内縁の妻の加給年金請求