ブログ
内縁の妻がもらえる遺族年金の金額について知っておきたい6選!
公開日: 2019年10月19日
更新日:2020年5月25日
内縁の妻が遺族年金をもらえる金額はいくらなのか?
という疑問を始めとする遺族年金の金額について知っておきたいことを6つ程解説していきます。
内縁関係の遺族年金の請求は難しいケースが多いので、
・その労力に見合うだけの遺族年金が支給されるのか?
・遺族年金の金額が少ないのであれば、請求しないでおこうか。
と考えられる方が相談者の中にいらっしゃるので、今回、関連する記事を書きました。
※注意点※
-
なお、今回は、内縁のご主人が厚生年金加入者で、お二人の間に子供がいない場合を想定した回答とします。
※以下、「内縁の妻」として説明していますが、遺族年金の金額や支給調整等の仕組みは、戸籍上の妻も内縁の妻も同じです。(法令上は配偶者として同じ取り扱い)内縁の妻に適用される特別な制度があるわけでは無いのでご注意ください。
1.遺族厚生年金は、内縁の夫の厚生年金の金額の4分の3
気になる年金の金額ですが、遺族厚生年金の金額は、内縁のご主人が受給していた厚生年金の金額の4分の3です。
※年金をもらう前に亡くなられた方は、厚生年金受給見込み額の4分の3
※国民年金の遺族基礎年金は支給なし。遺族基礎年金は、二人の間に子(18歳年後末までの子等の条件あり)がいる場合に支給されます。
たとえば、ご主人の厚生年金が年額100万円(月額8万3,333円)受給されていたのであれば、4分の3なので年額75万円(月額6万2,500円)が遺族厚生年金の金額ということになります。
ただし、ご注意ください
例えば、
「うちの主人は、年金を月16万円もらっていましたが、4分の3なら、遺族年金の金額は月12万円ですか?」という、質問がよくあります。
おそらく、この場合、ご主人が受給されていた年金は、厚生年金と国民年金を合算して月12万円支給されていると思います。
支給される遺族厚生年金は、あくまで厚生年金部分の4分の3です。国民年金部分は含みません。
月12万円の年金の内訳をご確認ください。
・厚生年金8万円
・国民年金4万円
の合計12万円であれば、
国民年金の金額を除外した、厚生年金8万円に対しての4分の3なので、6万円が遺族厚生年金です。
月12万円もらっている年金の4分の3なので、9万円が遺族厚生年金となるわけではありません。
2.中高齢寡婦加算
内縁の妻でも、上記で説明した遺族厚生年金の金額に加え、
年額585,100円(平成31年度価格)の中高齢寡婦加算がプラスで支給される場合があります。
上記の例でいえば、75万円+585,100円=1,335,100円(1月当たり約11万円)
ただし、支給要件は、下記の通り条件があります。
【内縁の妻に必要な条件】
年額585,100円(平成31年度価格)の中高齢寡婦加算がプラスで支給される場合があります。
上記の例でいえば、75万円+585,100円=1,335,100円(1月当たり約11万円)
ただし、支給要件は、下記の通り条件があります。
【内縁の妻に必要な条件】
・内縁の夫の死亡当時、40歳以上65歳未満であり、「子」がいないこと。
・内縁の夫の死亡当時、40歳未満だったが、40歳に達した当時「子」がいるため遺族基礎年金を受けていた。
※「子」は、18歳の年度末を経過していない子または20歳未満で1級・2級の障害を持つ子をいいます。
【死亡時の内縁の夫に必要な条件】
1.下記の要件に該当する
・被保険者である
・被保険者期間中の病気やケガが原因で、初診日から5年以内に死亡した
・1級・2級の障害厚生年金の受給権者である
2.老齢厚生年金の受有権者または受給資格期間を満たしている場合、厚生年金の被保険者期間が20年以上あること
中高齢寡婦加算は、40歳以上であって遺族基礎年金がもらえない妻の年金を補うものです。
内縁の妻が65歳になると自分の老齢基礎年金が受けられるようになりますので、中高齢寡婦加算の給付は打ち切りとなります。
中高齢寡婦加算は、40歳以上であって遺族基礎年金がもらえない妻の年金を補うものです。
内縁の妻が65歳になると自分の老齢基礎年金が受けられるようになりますので、中高齢寡婦加算の給付は打ち切りとなります。
中高齢寡婦加算は、40歳未満の方は支給されません。そして、支給されても65歳までと覚えておいて下さい。
3.経過的寡婦加算
中高齢寡婦加算をもらっていた内縁の妻のうち昭和31年(1956年)4月1日以前に生まれた人に対して65歳から支給されます。
また、昭和31年4月1日以前に生まれて65歳になってから遺族厚生年金がもらえるようになった妻にも支給されます(夫の加入期間の要件があります)。
かつて専業主婦の年金制度への加入は任意であったため、その期間に年金制度に加入していなかったことで減少する老齢基礎年金を補う目的があります。
また、昭和31年4月1日以前に生まれて65歳になってから遺族厚生年金がもらえるようになった妻にも支給されます(夫の加入期間の要件があります)。
かつて専業主婦の年金制度への加入は任意であったため、その期間に年金制度に加入していなかったことで減少する老齢基礎年金を補う目的があります。
年間の支給額は妻の生年月日によって異なり、生年月日が遅くなるにつれて減少します。
経過的寡婦加算の対象者となる要件は、次のとおりです。
・中高齢寡婦加算されていた「昭和31年4月1日以前生まれ」の「遺族厚生年金の受給権者」である妻が65歳に達したとき
・昭和31年4月1日以前生まれの妻であり、65歳以上で遺族厚生年金の受給権が発生したとき(この場合は中高齢寡婦加算は受けていません)
・死亡した夫の、共済組合などの加入期間を除いた厚生年金の被保険者期間が、20年以上である、または40歳以降に15年以上ある場合
つまり、「昭和31年4月1日以降に生まれた人」は、経過的寡婦加算については該当しませんので、ご注意ください。
4.60歳~65歳の間は、遺族年金か自分の年金か選択
60歳~65歳までは自分自身の老齢年金か遺族年金か選択になります。
60歳台前半で自身の特別支給の老齢厚生年金(受けられ始める年齢は生年月日により異なります。)の受給ができるようになっても、遺族年金か老齢年金かどちらかの年金を選択して受給することになります。
両方もらえるわけではありませんので、ご注意ください。
60歳台前半で自身の特別支給の老齢厚生年金(受けられ始める年齢は生年月日により異なります。)の受給ができるようになっても、遺族年金か老齢年金かどちらかの年金を選択して受給することになります。
両方もらえるわけではありませんので、ご注意ください。
5.65歳以上の場合、遺族厚生年金と自分の厚生年金に調整が入る
遺族年金を受給している内縁の妻が65歳になると、年金の内訳が変わります。
65歳になると中高齢寡婦加算は無くなります。
その代わりに、内縁の妻自身の老齢基礎年金、老齢厚生年金を遺族厚生年金と併せて受け取れることになります。
ただし、65歳以降の遺族厚生年金は原則、老齢厚生年金相当額を差し引いた差額分で受けることになります。
65歳になると中高齢寡婦加算は無くなります。
その代わりに、内縁の妻自身の老齢基礎年金、老齢厚生年金を遺族厚生年金と併せて受け取れることになります。
ただし、65歳以降の遺族厚生年金は原則、老齢厚生年金相当額を差し引いた差額分で受けることになります。
つまり、上記の例でいうと、遺族厚生年金の金額は、
75万円(遺族厚生年金の金額)-25万円(自身の厚生年金の金額)=50万円
差額調整された50万円が遺族厚生年金として支給されます。
そのため、内縁の妻自身の厚生年金の金額が高い方だと、遺族厚生年金の支給額が少ないということになるか、もしくは支給されないケースもあります。
なお、ご自身の国民年金部分の老齢基礎年金は調整対象とはなりません。
6.遺族年金の金額は、内縁関係でも籍を入れていた場合と変わらない
よく、相談者の方から「内縁の妻」で遺族年金の受給が認められたとしても、籍が入ってもらえる遺族年金より、どれくらい金額が少なくなるのですか?」
という質問をよく受けますが、ご安心ください。
遺族厚生年金の金額は、内縁の妻も、戸籍上の妻も同じです。
まとめ
・内縁の妻の遺族厚生年金は、内縁の夫の厚生年金の金額の4分の3。
・内縁の妻も戸籍上の妻も、もらえる金額は変わらない。
・遺族年金を受給した後は、60歳~65歳までは遺族年金から自身の年金かを選択。65歳以降は、遺族厚生年金と自身の厚生年金と調整あり。
・40歳~65歳までの方は中高齢寡婦加算585,100円が支給される場合がある。
・65歳以降になっても、昭和31年4月1日以前生まれの方は経過的寡婦加算が支給される場合がある。
この記事を書いた人
担当した解決事例
- 内縁の妻(住民票住所同一、住所別)の遺族年金請求
- 離婚後の元妻の遺族年金請求
- 重婚的内縁関係の遺族年金請求(内縁の妻側、戸籍上の妻側共に有り)
- 通い婚状態の内縁の妻の遺族年金請求
- 内縁の夫の遺族年金請求
- 別居して18年の妻の遺族年金請求
- 元夫との間の子の遺族年金請求
- 内縁の妻の加給年金請求