ブログ
2023年版 離婚した元妻の遺族年金請求ポイント10選!徹底解説
公開日: 2020年4月 4日
更新日:2023年4月30日
離婚した元妻の遺族年金の請求について、覚えておいて頂きたいポイント10選をまとめました。
「離婚したら遺族年金は、もらえないのが普通じゃないの?」
「30年も婚姻期間があったから、離婚してももらえるんじゃないの?」
という内容のご質問が寄せられます。
これから遺族年金を請求する方やだけでなく、今後、請求する可能性がある方も、是非、覚えておいてください。
1.離婚しても元夫の遺族年金はもらえるのか?
結論から申し上げると、
元夫の遺族年金は、原則もらえません。ただし、要件を満たせばもらえるケースもあります。
まずは、「原則もらえない」ということは覚えておいてください。
たまに、「婚姻期間が30年もあり、長年元夫を支えてきた。元夫に責めがある原因で1年前に離婚し、元夫が死亡したが、遺族年金はもらえないのか?」という質問があります。
この場合、いくら婚姻期間が長期間であろうが、遺族年金の受給資格者である判断は、元夫の死亡時において、配偶者であったかがみられるので、遺族年金の対象外となります。
しかしながら、離婚していても例外的に要件を満たせばもらえるケースがありますので、その要件について説明していきます。
元夫の遺族年金は、原則もらえません。ただし、要件を満たせばもらえるケースもあります。
まずは、「原則もらえない」ということは覚えておいてください。
たまに、「婚姻期間が30年もあり、長年元夫を支えてきた。元夫に責めがある原因で1年前に離婚し、元夫が死亡したが、遺族年金はもらえないのか?」という質問があります。
この場合、いくら婚姻期間が長期間であろうが、遺族年金の受給資格者である判断は、元夫の死亡時において、配偶者であったかがみられるので、遺族年金の対象外となります。
しかしながら、離婚していても例外的に要件を満たせばもらえるケースがありますので、その要件について説明していきます。
2.元妻でも遺族年金がもらえるための要件
元妻でも遺族年金がもらえるかどうかの規定
認定基準(生計維持関係等の認定基準及び認定の取扱いについて(平成23年3月23日年発0323第1号)厚生労働省年金局長通知)には、次のとおり記載があります
『離婚の届出がなされ、戸籍簿上も離婚の処理がなされているにもかかわらず、その後も事実上婚姻関係と同様の事情にある者の取扱いについては、その者の状態が事実婚認定の要件に該当すれば、これを事実婚関係にある者として認定するもの』
【事実婚認定の要件】
そのため、通常の離婚のように、離婚したら、お互い別々の住居で生活していて別生計という場合は、この条件に該当しないので遺族年金はもらえません。あくまでも、形式上離婚しただけで、夫婦としての共同生活が続いている必要があります。
それでは、次に、どのようなケースが該当するのか見ていきたいと思います。
認定基準(生計維持関係等の認定基準及び認定の取扱いについて(平成23年3月23日年発0323第1号)厚生労働省年金局長通知)には、次のとおり記載があります
『離婚の届出がなされ、戸籍簿上も離婚の処理がなされているにもかかわらず、その後も事実上婚姻関係と同様の事情にある者の取扱いについては、その者の状態が事実婚認定の要件に該当すれば、これを事実婚関係にある者として認定するもの』
【事実婚認定の要件】
- 当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係を成立させようとすること
- 当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係が存在すること
そのため、通常の離婚のように、離婚したら、お互い別々の住居で生活していて別生計という場合は、この条件に該当しないので遺族年金はもらえません。あくまでも、形式上離婚しただけで、夫婦としての共同生活が続いている必要があります。
それでは、次に、どのようなケースが該当するのか見ていきたいと思います。
3.元夫の遺族年金がもらえる可能性があるケース
よくある例は、下記の通りです。
- パターン①:元夫の借金が理由で形式上、離婚したものの、共同生活を継続
- パターン②:浮気、性格の不一致等の理由で離婚し家を出たものの、再び同居することになった
- パターン③:離婚後、同居はしていないがお互いの家が近所だったので行き来が継続していたケース
パターン① 借金によるやむを得ない事情があり離婚したものの、共同生活を継続
これが一番多い事例だと思います。元夫との夫婦関係は良かった。
しかし、元夫には多額の借金があり、妻や子に債務負担を負わせない為に形式上離婚したという事情。
籍は抜いたけど、婚姻時より変わらず同居しており、共同生活が継続されているケースです。
このケースは、同居していれば離婚後の内縁関係を証明する為の資料が集まりやすい状況かと思われますが、別居していれば生計同一関係の証明のハードルは高くなることでしょう。
パターン② 浮気、性格の不一致等の理由で離婚し家を出たものの、再び同居することになった
特に、やむを得ない事情による離婚原因ではないので、遺族年金の受給は難しいのかなと思われがちですが、この離婚事由であったとしても、その後、同居を再開して夫婦同然の生活を送っていれば、遺族年金を受給できる可能性があります。パターン③ 離婚後、同居はしていないがお互いの家が近所だったので行き来が継続していたケース
このケースは、離婚後の内縁関係の証明が難しいです。難易度が高いケースといえるでしょう。離婚後も内縁関係だったと主張しても、
離婚して、別居、別住所であれば、
はたから見たら通常の離婚のケースで、「もう別々に生活しているんじゃないの?」と、見られやすい状況だからです。
夫婦関係が継続していたことを証明する資料の他、経済的援助(仕送り)や、訪問や音信があったことの証明が必要となります。
4.離婚後の証明資料が必要
離婚後の内縁関係を証明する資料は、何が必要か?
一般的に求められるものは、こちらのページで解説していますので、ご参照ください。
クリック → 「内縁(事実婚)の遺族年金請求ポイント」
ただし、これらの資料に関しては婚姻期間中のものを準備しても意味がありません。あくまでも、離婚後の内縁関係を証明するので、離婚後のものを準備してください。
例えば、平成28年3月に離婚し、令和2年3月に元夫が亡くなったのであれば、連名の郵便物は平成28年4月以降に届いたものを提出しましょう。
5.自分が遺族年金をもらえそうにないなら、子供がもらえないか検討してみましょう
もし、自分が通常の離婚のケースで、遺族年金をもらえそうにない。
そういう場合は、元夫との間に子供さんがいれば、子供さんが遺族年金を請求できないか検討してみてください。
子供さんと、元夫が生計同一関係(養育費をもらっていた、面会や連絡のやり取りがあった等)にあれば、遺族年金をもらえる可能性があります。
ただし、元妻と子供さんが一緒に生活している場合は、遺族基礎年金は受給できません。遺族厚生年金のみの受給となります。
※注意点①:父母と生計同一の場合、遺族基礎年金は支給停止
国民年金保険法第41条2項に、このような規定があります。
『子に支給される遺族基礎年金は、その子の父又は母と生計を同じくするときはその間支給停止される。』
つまり、元妻と子が一緒に住んで生活している。いわゆる、生計を一つにしている状況だと、遺族基礎年金はもらえません。
このケースに該当して、遺族基礎年金が支給停止になるケースは多いと思いますので、ご注意ください。
一方、遺族厚生年金についてはこのような規定はありませんので、元夫の遺族年金で受給できるのは、遺族厚生年金のみというケースが多いと思います。
注意点②:児童扶養手当との調整
児童扶養手当と遺族年金は両方とも満額で受給はできません。遺族年金額が児童扶養手当よりも少なければ、その差額分を児童扶養手当としてもらえます。
例えば、児童扶養手当が全額支給で月42,910円(平成31年4月時点)支給される方で、遺族年金が月20,000円であれば、児童扶養手当は、20,000円差し引かれた22,910円の支給となります。
そして、遺族年金が児童扶養手当よりも多い時は、児童扶養手当はもらうことはできませんのでご注意ください。
例えば、児童扶養手当が全額支給で月42,910円(平成31年4月時点)支給される方で、遺族年金が月20,000円であれば、児童扶養手当は、20,000円差し引かれた22,910円の支給となります。
そして、遺族年金が児童扶養手当よりも多い時は、児童扶養手当はもらうことはできませんのでご注意ください。
6.離婚後、児童扶養手当を受給していた方は要注意!
離婚後、すぐに児童扶養手当を受給していた場合は注意が必要です。
児童手当法第3条3項において、『「婚姻」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む』と、規定されています。
そして、支給要件として、母が受給者とする場合、児童扶養手当法第4条2項4号で「母の配偶者に養育されているとき」には、支給されないと定められています。
このことから、児童扶養手当を受給していたということは事実婚の夫がいないことが前提となります。
それにもかかわらず、児童扶養手当を受給していたということは、事実婚の夫の存在を否定していることとなるので、遺族年金の請求する際、元夫とは事実婚関係であったと主張することに矛盾が生じます。
離婚後に児童扶養手当を受給していた方で遺族年金の請求を考えている方は、かなりマイナス材料と思ってください。
※児童扶養手当の受給停止の手続きをされた方は大丈夫です。
注意点
児童扶養手当と児童手当は異なります。児童手当の受給は問題ありません。
7.元夫が再婚していたら遺族年金はもらえません
元夫が再婚しているのであれば、元妻が遺族年金を受給できる可能性はほとんどありません。
元妻が受給できる可能性があるとすれば、
元夫が再婚したものの再婚相手と別居して、元妻と一緒に生活しているケースでしょう。
この場合、重婚的内縁関係として審査されることになります。
再婚相手との婚姻関係が形骸化しており、元妻が事実婚関係及び生計が維持されていたと認められれば、元妻が遺族年金を受給できます。
8.遺族年金と相続放棄の関係
1.相続放棄しても遺族年金を受給できるのか?
遺族年金は、「相続財産」ではなく、年金受給権という遺族の方が自己の名前で請求する一身専属上の権利であるため、相続放棄をしても遺族年金を受給することは可能です。
2.遺族年金や未支給年金を受給した後でも相続放棄はできます。
民法921条1項に「相続人が相続財産の全部または一部を処分したとき、相続を承認したとみなす」(単純承認)という規定があります。
そのため、相続放棄を考えている方から、「相続放棄する前に遺族年金の受給をした場合、相続放棄できなくなるのでは?」と、質問されることがあります。
上記で説明しましたが、遺族年金は相続財産ではなく、遺族の方ご自身の権利であるため、遺族年金を受給しても相続財産を処分したとはみなされません。
遺族年金受給後でも、相続放棄は可能です。
9.年金分割(離婚分割)をしていても受給できる可能性はある
年金分割をするということは、再婚の可能性が限りなく無い感じがして、遺族年金をもらえない気がすると思います。
しかしながら、年金分割をしたという事実をもって、遺族年金がもらえないということにはなりません。
もちろんマイナス材料にはなってしまうとは思いますが、あくまでも、離婚後の事実婚(内縁)関係としての状況を総合的に判断して決定されます。
当センターが手続き代行した依頼者の方には、年金分割をされた方でも遺族年金を受給された方がいらっしゃいます。
10.元妻の遺族年金の受給事例
・元夫の遺族年金を受給した方の事例(社会保険審査会裁決例)は、
こちらをクリック→「離婚後の内縁関係事例」
・当センターがサポートして遺族年金を受給できた元妻の方のお客様の声は、
こちらをクリック→「離婚後の内縁関係お客様の声」
この記事を書いた人
担当した解決事例
- 内縁の妻(住民票住所同一、住所別)の遺族年金請求
- 離婚後の元妻の遺族年金請求
- 重婚的内縁関係の遺族年金請求(内縁の妻側、戸籍上の妻側共に有り)
- 通い婚状態の内縁の妻の遺族年金請求
- 内縁の夫の遺族年金請求
- 別居して18年の妻の遺族年金請求
- 元夫との間の子の遺族年金請求
- 内縁の妻の加給年金請求