事例集
アルコール依存症が原因で夫と別居していたが、遺族厚生年金の支給が認められた事例
公開日: 2023年12月 7日
更新日:2023年12月 7日
【当センターの事例結果】
無事に遺族厚生年金の支給が決定しました。
事案概要
請求者:Aさん(妻)故人 :Bさん(夫)
相談者:Cさん(子)
本件は、まずAさんが夫であるBさんの死亡後に年金事務所へ遺族年金の手続きに行ったところ、
「別居していた場合は、生計同一関係でなければ遺族年金はもらえない」と言われ、どうのように手続きを進めていけばよいかわからず困っていたところ、
子供のCさんが、当センターのYouTubeをご覧になられ、ご相談のお電話を頂きました。
Bさんはアルコール依存症でお酒を飲むとAさんに対して大声で怒鳴ったり、ときどき殴ったりのDV行為があり、年々エスカレートしていったことから、一緒に生活する事に限界を感じ、8年前に別居されたとのことでした。
ただ、お酒が入っていないときは、普通の状態ではあったので、週に2・3度は夫の家を訪問するという生活を送っていました。
別居期間中における生計同一関係(経済的援助・音信訪問)があったことを証明できるかがポイントとなります。
担当社労士による見解、実施したこと
別居しているケースにおいて、生計同一関係であったと認定されるためのポイントは、
単身赴任、就学又は病気療養等のやむを得ない事情により住所が住民票上異なっているが、次のような事実が認められ、その事情が消滅したときは、起居を共にし、消費生活上の家計を一つにすると認められるとき
(ア) 生活費、療養費等の経済的な援助が行われていること
(イ) 定期的に音信、訪問が行われていること
上記要件に該当する事を申し立てます。
上記要件に該当する事を申し立てます。
経済的援助に関して、
①AさんからBさんに渡していた生活費の援助は主に現金手渡しであったが毎月あった。
②Aさんの保険料や電話代はBさんが口座引落しで支払っていた。
音信訪問に関して、
①音信は、たまにではあるが、電話で日常の事を話したり、メールや手紙のやり取りがあった。
②訪問は、週2・3日程度、主にAさんがBさんの家を訪れ、家事や掃除、洗濯を行っていた上、病院の通院を付き添っていた。
その他、AさんはBさんの税法上の配偶者控除の対象であったことが源泉徴収票から確認できました。
上記に関連する証明資料及び申立書を作成し、年金事務所に提出しました。
【提出した生計同一関係証明資料】
・携帯電話の料金明細内訳書、請求書
・医療保険の契約書
・通帳の写し
・手紙
・メールのやり取りの履歴
・源泉徴収票
結果
無事に遺族年金の受給が決定しました。
解決期間は、2か月程度でした。
本事例のまとめ
別居していた妻の遺族年金の受給ポイントは、経済的援助と音信・訪問があったか否かにつきます。アルコール依存症による別居に関しては、DVが伴っているケースも多く、
そうなると夫に所在を知らせない、連絡を一切とらないという事になり、生計同一関係の証明が難しくなる場合が想定されます。
本事例に関しては、Bさんがお酒を飲まない時は、普通の状態で、Aさんも接することに苦はなく、アルコール依存症が治れば同居してもよいという関係性であった為、音信や訪問もあり、実際に会った時に生活費を渡すという経済的な援助が行われていました。
現金の受渡しに関する直接的な資料はありませんでしたが、保険料や電話代の支払いに関しては証明資料があったことが良かったです。
別居していた妻が遺族年金を受給できるかどうかは、やむを得ない事情というよりも、生計同一関係を証明できる資料の有無が鍵となります。
その為、「夫がこんなに酷い事をしたので別居せざるを得なかった。」とか「私がこれまで夫婦生活を我慢して夫を支えてきた。」という主張よりも(お気持ちはわかります。)、経済的援助や音信訪問があったことについて主張していくことが重要です。※DV特例事案を除く
別居していたけど、遺族年金を受給することができないか?
このような事でお悩みの方は、初回無料相談で対応しておりますので、一度、当センターにご相談ください。
※生前対策は相談の対象外となります。