事例集
離婚後、介護の為、別々に生活をしていた元妻の遺族年金が認められた事例
公開日: 2020年1月24日
更新日:2020年1月24日
無事に遺族厚生年金の受給が認められました。
事案概要
請求者:紀藤絵美さん(仮名)・・・内縁の妻(元妻)故人 :紀藤卓さん(仮名)・・・内縁の夫(元夫)
本件は、紀藤絵美さんが、当センターのHPにご覧になり、相談のお電話を頂きました。
絵美さんは、10年前に、元夫の卓さんの借金が原因で離婚されました。
その後、卓さんはご両親の介護の為、実家に戻られて、お二人は、別々の住居で生活することになりましたが、
卓さんは、絵美さんに生活費の仕送りを続けており、定期的に会って、ご両親の介護が落ち着いたら復縁しようと話しをしていたやさきに、卓さんが病気で亡くなられました。
離婚後の内縁関係で、別居、住民票の住所は別という事例になります。
担当社労士による見解
本事例は、「離婚後の内縁関係で、別居、住民票の住所が別」という案件となります。
状況的には、非常に難しい案件です。
なぜなら、客観的にみると、離婚して、別居、住所が別という状況は、一般的な離婚の状況と変わらないからです。
正直、遺族年金の受給が認められるのは難しいと思っていましたが、わずかな可能性を信じてご依頼をお受けしました。
実施したこと
今回のような事例では、離婚後に夫婦同然の関係であったことを証明する資料。そして、1番やっかいな生計同一関係を証明する資料。
経済的援助と定期的に音信・訪問があったことを証明する必要があります。
これらの資料を収集した結果、
・絵美さんが、卓さんの死亡保険金の受取人となっていたことが確認できる証書
・絵美さんが、卓さんの未納分の税を支払ったことがわかる領収書
そして、
経済的援助があったことを証明するものとして、
生活費送金用に作られた通帳のお金の流れを説明した、送金説明書を作成しました。
定期的な音信・訪問に関しては、卓さんからの封筒や、メールの写真、卓さんが絵美さんに会いに来たときの、ETCカードの請求書を準備しました。
そして、主張と証明資料をまとめ、内縁関係の申立書を作成し、年金事務所に提出しました。
結果
無事に遺族年金の受給が決定しました。
解決期間は、5か月程度でした。
本事例のまとめ
本事例が認められたのは、本当に紙一重だったと思います。所轄の年金事務所や、年金事務センターと何度もやり取りしました。
離婚後の内縁関係で、別居、別住所は、「最難関」と言っても過言ではない案件になります。
しかしながら、離婚後も夫婦同然の関係で、生計を共にしていたと認めれられれば、このようなケースでも遺族年金を受給できる可能性があります。
たまに、「離婚したら遺族年金はもらえない」と断言される専門家の方がいらっしゃると聞きます。
たしかに、原則として、離婚したら遺族年金はもらえませんが、例外的に「離婚後の内縁関係」に該当する方は、今回の事例のように遺族年金がもらえる可能性があるのです。
離婚後の内縁関係に該当するかどうかわからない場合は、遠慮なく気軽に当センターにご相談ください。