事例集
離婚後1週間以内に亡くなった元夫の遺族年金請求が認められた事例
公開日: 2023年2月20日
更新日:2023年2月20日
【当センターの事例】
無事に遺族基礎年金及び遺族厚生年金の受給が認められました。
事案概要
請求者:Aさん(仮名)・・・内縁の妻(元妻)故人 :Bさん(仮名)・・・内縁の夫(元夫)
本件は、請求者であるAさんが当センターのYouTube動画で「離婚していても元夫の遺族年金をもらえる可能性がある」ことを知り、当センターに相談のメールを頂きました。
お二人は、ご主人のBさんが経営されていた会社の倒産による借金が原因で形式的に籍を抜きましたが、籍を抜いて1週間後にBさんはお亡くなりになられてしまいました。
やむをえず離婚されて、わずか1週間後にBさんが亡くなられたので、Aさんは精神的なショックがかなり大きいようでしたが、小学生の子供さんがいらっしゃったので、今後の生活への大きな不安を感じられていました。
今回の件は、離婚後の内縁関係として認定される可能性があるので、小学生の子供さんを請求人とせず、離婚された元妻のAさんを請求人として遺族厚生年金と遺族基礎年金の請求をすることをお勧めしました。
※子供さんが請求人の場合、請求が認められても、遺族基礎年金は支給停止(母と生計同一のため)、遺族厚生年金のみ支給となります。
離婚後の内縁関係で、同居、住民票の住所は同一という事例です。
担当社労士による見解
本事例は、「離婚後の内縁関係で、同居、住民票の住所が同一」という案件となります。
離婚後の内縁関係の取扱に関しては、下記の通り
「離婚の届出がなされ、戸籍簿上も離婚の処理がなされているにもかかわらず、その後も事実上婚姻関係と同様の事情にある者の取扱いについては、その者の状態が事実婚認定の要件に該当すれば、これを事実婚関係にある者として認定するものとされています。」≪生計維持関係等の認定基準及び認定の取扱いについて(平成23年3月23日年発0323第1号)厚生労働省年金局長通知≫
今回の事例のように、離婚してわずか1週間後に元夫が亡くなるというケースは、当センターにもたまに見受けられるケースではあります。これまでも、離婚後2・3日後に亡くなったケースや1か月以内に亡くなったケースはありました。
離婚後も事実婚関係であったかどうかの証明資料は、離婚後のものが必要になってきます。
そのため、今回は、離婚後わずか1週間以内のものが必要となりますので、証明資料が揃いにく状況ではあります。
実施したこと
離婚後に夫婦同然の関係であったこと及び生計同一関係を証明する資料を収集した結果、
・葬儀費用を支払ったことが確認できる領収証
・Bさんから最後の生活費を受け取ったことが確認できる家計簿
・Bさんが勤務していた会社からの最後の給料をAさんが受け取ったことが確認できる領収証
・お二人が居住していた住居の水道光熱費の領収証
・Bさんの未払いの市県民税をAさんが支払ったことが確認できる資料
が集まりました。
そして、離婚後も内縁関係及び生計同一関係であった事の主張と証明資料をまとめ、離婚後の内縁関係の申立書を作成し、年金事務所に提出しました。
結果
無事に遺族年金の受給が決定しました。
解決期間は、3か月程度でした。
本事例のまとめ
離婚後、短い間に元夫が亡くなったケースにおいては、離婚後の証明資料が必要となりますので、証明資料が揃いにくい状況ではあります。
※例えば、連名の郵便物は今回の事例でいえば、離婚後、亡くなるまでの1週間以内に届いたものが必要となり、このような短い期間の間に届くことはまず無いでしょう。
今回の事例は、同居で同一住所だからまだ良かったですが、別居、別住所となるとかなり厳しくなるでしょう。
とはいえ、今回の事例のように離婚後、短い期間の間に元夫が亡くなったケースにおいても、
離婚後も夫婦同然の関係で、生計を共にしていたと認めれられれば、遺族年金を受給できる可能性があります。
離婚後の内縁関係に該当するかどうかわからない、自分のケースは遺族年金がもらえるんだろうか?と、お悩みの方は、一度、当センターにご相談ください。