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生計同一関係が問題となる子の遺族年金請求ポイント
遺族年金の受給権者として、一般的には子は、遺族年金を受給できますが、ここでは「子」が遺族年金を受給するのに要件が必要となってくるケースを見ていきたいと思います。
受給権者の順位
遺族厚生年金の支給順位は、下記のとおり
1.子のいる妻
2.子
3.子のない妻
※子:①18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子 ②20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子
両親が別居又は離婚し、父と離れて暮らしていた子
子が遺族年金を受給するには、父と生計同一関係である必要があります。
生計維持認定対象者及び生計同一認定対象者が配偶者又は子である場合
ア 住民票上同一世帯に属しているとき
イ 住民票上世帯を異にしているが、住所が住民票上同一であるとき
ウ 住所が住民票上異なっているが、次のいずれかに該当するとき
(ア) 現に起居を共にし、かつ、消費生活上の家計を一つにしていると認められるとき
(イ) 単身赴任、就学又は病気療養等の止むを得ない事情により住所が住民票上異なっているが、次のような事実が認められ、その事情が消滅したときは、起居を共にし、消費生活上の家計を一つにすると認められるとき
・生活費、療養費等の経済的な援助が行われていること
・定期的に音信、訪問が行われていること
上記認定基準によれば、父と子は別居しているので、ウ(イ)に該当する必要があります
例)誰が遺族年金を受給できるのか
例えば、ケース別に、誰が遺族年金を受給できるのか見ていきます。
年金太郎(亡夫):50歳で死亡
年金花子(本妻):48歳
年金次郎(長男):21歳 ※太郎と花子の子
年金京子(内縁の妻):30歳
年金三郎(内縁の妻の子):5歳 ※太郎と京子の子(認知済)
A:太郎と花子の婚姻関係が形骸化しており、京子と生計維持関係にある場合(重婚的内縁関係)
この場合、京子が遺族年金を受給できます
B:太郎と花子の婚姻関係が形骸化していないが、京子・三郎と生計維持関係にある場合
つまり、亡夫である太郎の本妻である花子と婚姻関係が形骸化していなかったものの、事実婚(内縁)関係にあった京子、そして、その間に生まれ認知した子供の三郎と生計維持関係にあった場合です。さきほどの支給順位でみると、花子には子供の次郎がいますが、すでに成人であるため、支給順位第3位の「子のない妻」に該当します。
ですので、この場合は支給順位の第2位である「子」の三郎に受給権があることになります。
C:三郎(内縁の妻の子) > 花子(子のない妻)の場合
太郎と京子が事実上婚姻関係及び生計維持関係にあったとしても、「重婚的内縁関係」の場合は、太郎と花子の婚姻関係が形骸化していなければ、京子には遺族年金が認定されません。しかしながら、花子と三郎が遺族年金を争った場合は、そもそも重婚的内縁関係による争いではないので、太郎と三郎が生計維持関係にあれば、三郎の方が支給順位が上になります。
ですので、この場合は三郎が遺族年金を受給することができます。
POINT
京子は自らを太郎の内縁の妻であるして遺族年金を請求するのではなく、子の三郎が生計維持されていた者であるとして請求することで遺族年金を受給することができる場合があります。
専門家からのアドバイス
・父が、子供の預金口座に直接、養育費を振り込んでいる。
・父が、母の預金口座に子供の養育費を振り込んでいる。
・父が、子供の教育費用や保険代を支払っていることが確認できる
・父と子の間に音信があったことが手紙で確認できる。訪問に関しては、写真で確認できる。
等の証明資料があれば、上記要件を証明できるので、父と別居していた子でも遺族年金を受給できるものと考えられます。